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Choose Your Life
Ep.13
中医薬膳営養師 藤井愛さん インタビュー
梅雨に入り体調を崩しやすい季節になりました皆様いかがお過ごしでしょうか?
久しぶりの更新となりましたChoose Your Life 第12弾。本日は中医薬膳営養師 藤井愛さんをお迎えし、薬膳のこと、人生のターニングポイント、母として、家族の健康を日々願う、藤井さんにたくさんお話をお伺いしました。
- 自身の体調の変化をきっかけに健康と向き合う -
TV 藤井さん、本日はよろしくお願いします。
藤井愛さん(以下藤井さん)
よろしくお願いします。
TV これまでインタビューでたくさん話されているとは思いますが、アパレルブランドのプレスから中医薬膳に興味を持ったきっかけを教えてください。
藤井さん
私は結婚も出産も早かったんですが、子育てをしているときに震災があったり、友人がなくなったりして体調を崩しました。32歳の頃だったと思います。。子供が5歳、2歳で大変手がかかる時期というのもあり体調が悪くなりました。めまいや動悸、最終的には目が見えにくくなってきたんです。何かを読むことが難しくなってきて、病院で脳や心臓の検査もしましたが異常なく、友人に相談したところ鍼治療を勧められました。行ってみたら、効果をかなり感じて、その時に東洋医学に興味を持ち始めました。
TV 体調を崩されたことがきっかけなのですね。
藤井さん
当時は東京にいることにかなり疲れていたんだと思います。受験がどうとか人の目を気にしたり、人に会う機会が多かったので、人付き合いにも疲れていたと思います。元々人に会うことも大好きなんですけど。。そこから住みたいって思える家を見つけて葉山に引っ越すことにしました。
TV 東京から葉山に生活拠点を移し、家事、育児と忙しい中、薬膳の学校に行こうと思ったのはなぜでしょうか?
藤井さん
東京から物理的に離れたことによって、自分と向き合う時間が増えました。そこで、薬膳を学びたいなと思うようになり、リサーチしてたところ、鎌倉にちょうど薬膳学校があったので、それで「行こう!」と思ったのがきっかけですね。
私はファッションもすごく好きで、アパレルも好きだけど、もっと自由でいいと思っていたんです。会社に入ったらここのものを着なきゃいけないとか。「もっと自由にお仕事をやりたい」そんな気持ちでした。また、主人も、私の周りもアパレル関係なのですが、ものを売ることが当時の私にとってはすごく大変に感じていました。
それで考えたことは、「モノ」じゃなく理論や、自分が毎日やっている中で取り入れられるものが良い。私はご飯を毎日作っていたので、食べ物に関しても慎重に選ぶようになったんです。それで家族のために薬膳を学ぼうかなと思いました。
36歳の頃だった気がします。
TV その薬膳を学びながら、体調の方はどうでしたか?
藤井さん
勉強を始めたころは頭も使うので疲れていたんですけど、薬膳スープを毎日飲み続けてたら体調がよくなりました。その時、食べ物で体がこれだけ変わるんだっていうことを実感しました。鍼も薬膳もそうですが、考え方も中医学にとてもハマりました。最近は算命学などもハマってやっています。
やっぱり元気じゃないと何もできないじゃないですか?
元気でいることって1番大事で、子供たちも元気でいてくれれば別に何でもいいかなって思っちゃうくらいです。
TV 藤井さんが学び続けようという決意、熱量はどんなところからきているのでしょうか。
藤井さん
鎌倉に薬膳を学んでた頃、丁度祖母が亡くなった時期で、私のために蓄えてくれていたお金を使ったのですが、、残してくれたものだからこれは自分磨きのために使いました。前から薬膳を学びたかったのもあるし、祖母への強い想いもあります。
恐らく熱量はそこからきていたかもしれません。
TV 薬膳学校に通ってみて一番印象に残ったこと、大変だと思った瞬間などありますか?
藤井さん
2年間学校で学び、2年目は講師になるための勉強をしていました。その後、学校のフランチャイズのような形で活動していましたが、最終的には独立することになりました。
大変だったと言えるかは分かりませんが、、学校では周りの方の意見、学校理念などもありましたので大変でした。ただ当時の私が学校の世界観じゃなかっただけだと思っています。。講師は自分を売っていくのがお仕事なので、私だけの世界観を作っていく必要がありました。
- 日々の生活と深く繋がる中医学 -
TV 藤井さんが立ち上げたFive Tastes of Studyを作った想いを聞かせてください。
藤井さん
日々の生活に薬膳を取り入れる、そして自分の体の状態がよくなる、変わっていくのをわかって欲しい、そんな思いで立ち上げました。学校というと大げさですが、気軽に通える薬膳教室があると良いなと思って始めました。
周りで体調を崩す人も多かったし、自分も様々な不調を経験したので人の不調をわかってあげたいんです。薬膳という方法で人に役立てたらいいなと思っています。
TV 薬膳の面白いところ、魅力はどんなところですか?
藤井さん
理論がありながらも自由なところです。感覚的なことも多いので理論に基づいて想像を搔き立てる感じです。これとこれを足したらこうなるんじゃない?というように自分で調合している感じが楽しいです。「クコの実、これに入れちゃう?」とか、「これをドレッシングにする?」みたいな(笑)中国で使われている薬膳食材をどうやって使うか考えて料理を作っていくところが面白いです。
例えば、蕎麦食べたいとか、小麦食べたいとかは「体を冷やしたい」というように、自分の感覚から食事に対して薬膳を選んでいることが多いんです。要は自分が欲している食べ物が、自分の体が求めていることの場合が多い気がします。
また薬膳は体の不調から食事を選ぶこともできるので、ベースが薬膳の生活をしているなと日々感じています。
TV 行われているワークショップを詳しく教えてください
藤井さん
季節の変わり目に開催することが多いんですが、葉山で様々な分野の友達と一緒に開くことが多いです。薬膳料理を作ったり、お話をしたりしています。本当に深く学びたい人は学校に行くだろうから、私のところでは全4回で薬膳の入口を楽しく学ぶという形で中医学を楽しく伝えています。最近は知り合いの方のオンラインサロンで季節の変わり目に薬膳講座を行ったりもしていますが、コロナも落ち着いてきたので、やっぱり皆様に会って話したい気持ちがあります。なので葉山では、友達のお店などで行うことが多いです。今年は小学校のお母さんたちに学校でワンコインで行う予定です。子どもたちにも教えていきたいと考えています。
TV 話は変わって、ホームページでは詩も書かれていますが、藤井さんのインスピレーションはどういうようなところから生まれるのでしょうか?
藤井さん
味とか感情など、(陰陽)五行に繋がってるすべてのことで季節を表現しようと思いました。この詩は私が一番頑張ったものなんです。
TV 子育、家族の健康はどういう形で気をつけていますか?
藤井さん
2人とも女の子なんですが、バランスのいい食事を心掛けています。西洋医学ではタンパク質・脂質・炭水化物などのバランスで考えられています。薬膳では色を使って感覚的に伝えたりもしますので、例えば、黄色いものは胃腸を良くしてくれる、緑は気の巡りを良くしてくれる、白いものは潤いで、黒いものはホルモンを整えてくれるとか、子供たちにもわかりやすく伝えています。
TV 薬膳をされている方は女性のイメージがありますが男性にも合うものでしょうか?
藤井さん
最近は男性の方もいます。ほとんどの人は加齢が原因で相談してくる方が多いです。今だと不妊症関連です。実は男性が原因の場合も意外に多くて、薬膳で絶対改善するので男性の方にも是非知ってもらいたいです。
TV 藤井さん人生のターニングポイントを教えてください。
藤井さん
体調を崩した後、葉山に引っ越したときです。身体もみるみるとよくなったし、「人は自然とともに生きるべきだ」ということを改めて実感しました。
環境を変えたことによって些細な天気の変化にも気付くようになり、自然と一緒に生きることが楽しくなりました。自然の移り変わりも一層楽しみになりました。。
TV 藤井さんにとって中医学とは?
藤井さん
私にとっては生活の全てですね。生活のバロメーターです。
中医学を最初に学んだことは「整体観念」というもので、「自然界」と「体」は常に繋がっているという考え方です。例えば台風が来て雨が多ければ、体にも水が溜まりやすいとか、天気以外にも仕事の失敗や人間関係、身の回りの出来事など精神的な事も含めて、外の世界と体の中の世界が常に関連しあっているという考えです。これは中医学の基礎であり、私も常に気にかけていることです。
何か物事がうまくいかなかったりする場合、私はまず全体を見ます。今自分の中に何が入ってきているのか、何を取り除かないといけないのかを考えます。
人から相談された時も同様に、眠れないという悩みを知り合いから相談されたとすると、まずは季節も含めて、それ以外でその人に起こっていることを人生相談みたいな感じで聞いています。
思考回路が中医学ベースになっていますね。
TV その人の周りに起きていること全てを見るんですね。
藤井さん
そうです。結局その人を見るという形になっていきます。より的確なアドバイスをするためにはまだまだ勉強しなくちゃいけないことがたくさんあります。
- 薬膳 meets 山人参 -
TV 次に山人参(ヒュウガトウキ)について聞かせてください。藤井さんは元々山人参を知っていましたか?
藤井さん
「高千穂に生えているトウキ」という認識で知っていました。主人が奈良出身なのでヤマトトウキはよく聞いていたのですが、高千穂に知り合いが行ったときにお土産としてヒュウガトウキの粉をくれたことで存在を知りました。
一時期お茶として飲んでいて、味は苦いですが、慣れるとその苦みを欲してしまいます。
高千穂漢方研究所のはとむぎ茶を飲んでいたので、高千穂はなんとなく薬草のイメージがあります。いつか行ってみたいと思っています。
TV 山人参を飲んでみていかがでしたか? オススメの山人参の飲み方やタイミングなどがあれば教えてください。
藤井さん
生理前とかに飲むと、体が温まるので目覚めが良かったり、深く眠れたりして調子が良くなる気がします。なのでトウキの効果は信じています。私は寝る前に飲むのが好きです。
五臓でいうと、「肝」という場所が血を溜めてくれるのですが、山人参は血を作ってくれるものだと思ってるので、寝る前に飲むと、寝ている間に血を溜めてくれると思います。
TV 薬膳ではどのように使えますか?
藤井さん
スープです。トウキはスープにすると黒っぽくなります。椎茸、昆布、ネギ、生姜と一緒に煮て出汁を取り、ナツメ、クコなど甘めのものも一緒に煮込んで中華だしで味をつけたりなどします。美味しくて私は好きです。
TV 美味しそうですね! 以前藤井さんのインタビュー「テニスと薬膳で不調知らずに」という記事を拝見したのですが、運動の前後に薬膳・漢方を摂るということが斬新だと思いました。山人参と運動はどういう風に組み合わせる方法などありますか?
藤井さん
私はテニスをやる前、運動の20分前に生脈散(しょうみゃくさん)や麦味散(ばくみさん)という、体から汗が出すぎないようにする漢方を飲んでいます。食べ物も飲み物も摂取して20分過ぎたあたりから効能を発揮していくので。
山人参は血流が上がるので、運動前などに飲むと良さそうです。今度私もやってみます。
TV 最後に今後の予定があればお聞かせください。
藤井さん
個人の方向けの講座や、企業様向けの薬膳講座など行っております。ご興味ある方はお気軽にご連絡いただければと思います。
TV 皆さん是非チェックしてみてください。藤井さん、貴重なお時間をいただきまして本当にありがとうございました。
藤井さん
ありがとうございました。
インタビューを通じて薬膳に対する情熱と探究心、貪欲に学びを重ねていく姿勢に深く感銘を受けました。普段から健康に携わる仕事をしている私たちですが、自然と同調する根本的な健康との向き合い方はとても参考になります。皆様も普段の生活では疎かにしがちな五感をもっと大切に過ごしてみてはいかがでしょうか。
次回も素敵なゲストをお招きしてお話を伺っていきます。次回のChoose Your Lifeもお楽しみに!